子連れ避難とペット連れ避難
いざ災害が起こって避難すべき時に気を配らないといけないのが、子連れやペット連れの避難。都会は人も多く避難時や避難場所の混雑なども心配です。また、避難場所でも泣き声や衛生面など周りへの気遣いやストレスも課題になります。避難時に役立ちそうなものを準備したり、子供やペットを一時的に「疎開」させるために事前に近隣の親戚や知人宅に預かってもらえるか確認をしておくことで、災害時に速やかに行動ができ、負担も大きく変わります。子連れ避難とペット避難で必要なことを整理していきましょう。
【01】日頃から「もし地震が起きたら」を子供と話し合う
子供を地震などの被害から守るためには、日頃の防災教育が必要です。必ずしもその際にそばにいるとは限らず、例えば同じ家の中にいても部屋が離れていれば瞬時に守ってあげることができません。そのため原則として子供部屋の安全対策をしっかりと整えること。次に地震が起きた時の行動について親子で話し合っておくことも大切です。第1回の「わが家の防災マニュアルを作ろう!」で紹介したシートもご活用ください。
【02】防災体験学習施設で防災意識を身につける
家族で防災体験学習施設を体験することで、備えの大切さも痛感し、いざという時に何をしたらよいかを具体的にイメージできるようになります。また、教えようとしてもなかなか言うことを聞いてくれない子供たちに、楽しみながら防災意識を身につけることもできます。
POINT
地震体験ができる施設が全国に多く点在しています。
ぜひ家族で体験学習をしてみましょう。
そなエリア東京
http://www.tokyorinkai-koen.jp/sonaarea/
防災館(都民防災教育センター)
https://tokyo-bskan.jp
あべのタスカル(大阪市立阿倍野防災センター)
http://www.abeno-bosai-c.city.osaka.jp/tasukaru/
【03】移動時には子供の安全に細心の注意を払う
災害時には、ガラスの破片やガレキが散らばっていたり、電柱が倒れていたりする道があったりします。小さな子供が歩くのは危険な上、はぐれてしまう心配もあります。自分で歩ける子供でもなるべく靴を履かせた状態で抱っこしたほうが安全。背後で何が起きるかわからないので、なるべくおんぶではなく抱っこ移動がおすすめです。その際に防災ヘルメットもかぶせてあげましょう。
POINT
災害時は逃げ惑う人々や日常と違う風景で殺伐とした状態に。子供連れで何より大事なことははぐれないこと。赤ちゃんの時に使った抱っこ紐は両手が使える上、基本前に子供を抱える体制なので様子もわかり、子供を守りながらの避難ができるので活用しましょう。
【04】入れ替えが必要な子供のための防災用品
赤ちゃんのおむつや子供用の衣類などは成長に合わせて定期的に入れ替えておきましょう。粉ミルクや液体ミルク、ベビーフードなどを入れておく場合は消費期限にも注意が必要です。スーパーのレジ袋は多めに用意しておくと、災害時に赤ちゃんのスタイやおむつカバーとして使うことができ便利です。
【05】防災対策や事前の準備がペットを救う
地震で動揺するのはペットも同じ。恐怖で走り回って怪我をしたり、物が倒れて下敷きになるなどの事故も起きています。ペットのためにも家具を固定したり、ガラスの飛散防止対策が重要です。また、避難場所や保護協会の預かりを利用するためにも、吠えない噛まないなどのしつけやゲージに入れる対応が必要です。行方不明対策として鑑札やマイクロチップ装着などの対応も考えておきましょう。
災害時はペット用トイレシートが不足する?
東日本大震災後にペットに関するアンケートを行った結果、ペットフードとペット用トイレシートの入手が困難だったとの声が多く寄せられていました。災害時を考慮して、その時にも困らない買い置きを心がけましょう。ただでもストレスで体調が崩れがちです。ちょっとした準備がご自身とペットの心と身体のゆとりをつくり出してくれますよ。
監修
国崎信江
地震調査研究推進本部対策委員会、防災科学技術委員会、消防審議会など国や自治体の防災関連の委員を歴任。現在は講演活動を中心にテレビや新聞などのメディアに情報提供をおこなうほか、被災地において状況に合わせた迅速かつきめの細かい支援活動を続けている。主な著書に『決定版 巨大地震から子どもを守る50の法則』(ブロンズ社)『サバイバルブックー大地震発生その時どうする?』(日本経済新聞出版社)『マンションみんなの地震防災BOOK』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。
http://www.kunizakinobue.com