楽しみながら避難生活体験おうちDEキャンプ
家族で防災について学び、準備ができたら、次は自宅での避難生活体験です。学校や施設で地震直後の避難訓練をした経験はあっても、被災後の生活をすることはなかなかないですよね。被災後数週間の生活をイメージしておくことで、万が一被災に遭ってもパニックにならずに過ごす手助けになります。自宅にテントを張ってキャンプ気分で避難生活体験をする「おうちDEキャンプ」は、家族で楽しみながら知識と経験を積むことができる方法です。家族の防災力を高める次のステップとしてトライしてみませんか。
【01】はじめてみよう!「おうちDEキャンプ」
最初は短時間から遊び感覚でチャレンジしてみましょう。簡易テントを使えば、セッティングや片付けも簡単です。地震発生後、床に物や破損物が散乱していることをイメージして、物を寄せて安全なゾーンを確保します。そこに簡易テントをセッティングすれば、避難スペースの完成!余震による軽い落下物やホコリも避けることができ、寒さ避けにもなります。クッションや寝袋をセットして、より快適な空間にするのもオススメです。
POINT
耐震性が高いマンションで倒壊の心配がないと判断できる場合に限り、避難所に行かず自宅で避難生活を送ることも選択肢となります。自宅で避難生活を送ることになってしまったことを想定して、家族で体験してみましょう。
【02】電気・ガス・水道などのライフラインを使わずに過ごしてみる
テントを張って生活スペースを確保したら、次はライフラインなしでの生活体験。最初は短時間で、その後朝7時から夜7時までライフラインを使用しない生活をしてみましょう。家族で集まって過ごすときのためにランタンを、移動するときのためにヘッドライトを準備しておくといいでしょう。トイレなど一人で移動するとき、両手が空いていると安全で、しかも便利です。
POINT
内閣府の首都圏直下地震による東京の被害想定上のライフライン復旧目標日数は、電気6日、下水道30日、ガス55日となっています。こちらの日数も参考にして何が不便になりそうか、必要になりそうかを想定しながら行うとより効果的です。
【03】カセットコンロやキャンプ用調理器具が活躍
ガスが使えなくなったとき調理に必要なのがカセットコンロ。普段から鍋物などで使い慣れているので安心して操作できるだけでなく、火力も強いので様々なお料理ができます。また、キャンプ用のガスバーナーも災害時に役立ちます。どちらも室内での使用時には換気や防火などに注意が必要ですが、上手に使うことで避難生活の負担軽減が可能です。
POINT
注意しなければならない室内での器具利用&保管。ガスランタンやカセットコンロ、キャンプ用ガスバーナーなどを使用するときはしっかり換気を!特にテント内や車の中など密閉された空間での使用は絶対にやめましょう。また、ガスボンベは暖房機のそばなどで高温で保管すると、爆発の危険があるので注意が必要です。
【04】家族にあった防災方法を見つけよう
普段から家にあるものやキャンプのために用意していたものを活用して「おうちDEキャンプ」を体験し、そこで必要だと感じたものを防災用品として揃えていきましょう。ベストな防災方法は家族によって異なります。実際に体験することで防災イメージを高め、万が一のときに安全に過ごすことができるヒントになります。
POINT
「おうちDEキャンプ」のステップアップとして体験しておくと安心なのが簡易トイレ。災害時に初めて使うのは負担感も大きくストレスになりますが、一度こんな感じだと分かっているだけで気持ちにゆとりが出ます。100円ショップで扱っているものから機能性の高い商品まで種類もいろいろあるので、実際に使ってみて使いやすいものを用意しておきましょう。
【05】新聞紙とポリ袋を使った簡単食器
災害時に様々な場面で活躍してくれる新聞紙。折りたたんでポリ袋やラップを重ねれば使い捨ての食器に大変身!簡単につくれるので一回トライしてみてください。(図参照)ネットでもたくさんの作り方が紹介されているので平常時に折り紙遊びの感覚で試してみましょう。
監修
国崎信江
地震調査研究推進本部対策委員会、防災科学技術委員会、消防審議会など国や自治体の防災関連の委員を歴任。現在は講演活動を中心にテレビや新聞などのメディアに情報提供をおこなうほか、被災地において状況に合わせた迅速かつきめの細かい支援活動を続けている。主な著書に『決定版 巨大地震から子どもを守る50の法則』(ブロンズ社)『サバイバルブックー大地震発生その時どうする?』(日本経済新聞出版社)『マンションみんなの地震防災BOOK』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。
http://www.kunizakinobue.com